日本に医療費控除が存在する理由、医療費控除の仕組みとは?

医療費控除とは

医療費控除とは1年間で支払った医療費が一定の金額を越えた際に、その医療費を元に計算し「所得控除」が受けられるようになる制度です。

「所得控除」は税金を計算するときの「課税所得」に含まれない仕組みになっています。つまり、支払った医療費に応じて「課税所得」が少なくなり、結果的に納める税金も減るのです。

医療費控除において、サラリーマンは「還付金」という形で返ってきます。自営業者など確定申告する必要がある人は、確定申告時に収める税金が少なくなります。

医療費控除の計算方法

引用元:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁 (nta.go.jp)

  • 1年間で支払った医療費の合計額ー保険金額などで補填された金額ー10万円

上記の計算式で計算します。ただし総所得(※1)が200万円未満の方は、「10万円」ではなく「総所得×5%」の金額を差し引きます。医療費控除は最高で200万円なので覚えておきましょう。

(※1)額面ではなく、控除額を引いた手取り額

医療費控除の申請は5年以内であれば可能

医療費控除は、かかった年の翌年1月1日から5年以内であれば、申請が可能です。2020年にかかった医療費であれば、2025年の年末まで申請が可能になります。

日本に医療費控除が存在する理由

日本で医療費控除が存在する理由は、憲法25条で生存権すなわち「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が国民一人一人に保障されているからです。

憲法第25条

第一項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

第二項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

憲法25条を基準にして考えると「所得税」の負担を考えた際、「最低限度の生活を維持するための費用(最低生活費)」を除いた金額で課税されるべきといった考えになるのです。

例えば配偶者控除、扶養控除、基礎控除は「最低限度の生活を維持するための費用」として所得税控除の対象です。同じように医療費も「最低限度の生活を維持するための費用」になるので、控除対象となります。

稼ぐためには、身体が資本です。身体を健康にしたり、病気を治したりするには医療機関に掛からなければなりません。心身の健康を保つことは、最低限度の生活を維持することと捉えて良いでしょう。

つまり、医者に掛かった医療費は「最低限度の生活を維持するための費用」なので、「医療費控除」という名目で、所得税から控除されるのが妥当なのです。