会計基準の種類や選び方とは?中小企業向けの会計ルールもある!

会計基準とは?

企業は会計基準に従って、決算期に財務諸表(貸借対照表・損益計算書)を作成する義務があります。

各企業が自由に財務諸表を作成すると、経営状態や財政状態が他社と比べて分かりづらくなるうえに、見えにくくもなります。そのため、会計基準という一定のルールに乗っ取って、財務諸表を作成する必要があるのです。

会計基準には4つの種類がある

日本では現時点で、4つの会計基準があります。

  • 日本会計基準
  • 米国会計基準
  • IFRS(国際会計基準)
  • J-IFRS(修正国際基準)

1つずつ見ていきましょう。

日本会計基準

日本会計基準は日本の企業に最も馴染みのある会計ルールです。企業会計原則をベースにしているので、分かりやすいのも特徴的です。

デメリットとして、国際市場では影響力がないことが挙げられます。

米国会計基準

米国会計基準とは、その名の通りアメリカの会計ルールです。アメリカ内に限らずアメリカで上場している企業は、米国会計基準に従い財務諸表を作成する必要があります。

財務会計と税務会計が独立しており、それぞれで都合の良い基準を選べるのが特徴的です。

IFRS(国際会計基準)

IFRSは世界共通の会計基準を目標に作られました。2005年よりEU内の上場企業は、IFRSで財務諸表を作成することが義務付けられています。

IFRSは海外での資金調達がしやすくなります。海外に多数の子会社を持つ企業にIFRSは採用されやすい傾向があります。

J-IFRS(修正国際基準)

J-IFRSは簡潔に言うと、IFRS(国際会計基準)の日本版です。

日本の経済状況に合わせて調整されており、国際会計基準に関心のある企業に採用されやすい特徴を持ちます。海外における資金調達の有効性は低いです。

中小企業向けの会計ルールも2種類ある

中小企業向けの会計ルールも2種類あります。

  • 中小会計要領
  • 中小会計指針

それぞれの特徴を見ていきましょう。

中小会計要領とは

中小会計要領は中小企業向けとして、2012年に定められた会計ルールです。大企業向けの会計ルールは国際会計基準に伴って、内容が複雑化されています。

そこで、より簡単に会計ができるようにと、中小会計要領が導入されたのです。

日本政策金融公庫や全国の信用保証協会は、中小会計要領を適用している企業に対し、金利の優遇や信用保証料の引き下げをしています。つまり中小会計要領を適用することにより、資金調達が有利になるのです。

中小会計要領が適している企業

中小会計要領は経理担当者が少なかったり、高度な会計処理に対応できなかったりする企業に適しています。

改正もほとんどなく、中小企業の経営者が見ても、理解しやすい決算書が作成できるでしょう。融資などの支援も受けられるので、中小会計要領を採用して損をすることはありません。

中小会計指針とは

中小会計指針は、2005年に定められた会計ルールです。中小会計指針は国際会計基準をベースにしているため、毎年基準の変更があります。

そのため、大抵の中小企業にとっては使いにくい会計基準です。しかし、一定水準以上の財務諸表を作成することができるでしょう。

中小会計指針を適用するにあたり、社内に企業会計について専門的な知識をもつ人材や、税理士や公認会計士からアドバイスを受けられる社内体制が整っていることは必須です。

中小会計指針が適している企業

中小会計指針は会計の専門家が役員に入っている場合や、将来的にグローバル化を目指す企業に適しているでしょう。

中小会計指針でも、資金調達で様々な優遇を受けられます。中小会計要領よりは処理が高度ですが、大企業向けの会計ルールよりは簡単です。

まとめ

一般的に会計基準は4種類ありますが、中小企業に限っては中小会計要領・中小会計指針の2つの会計ルールが追加され、どちらかを選ぶことができます。

それぞれに特徴があり、中小会計要領は簡単に財務諸表が作成でき、中小会計指針は財務諸表の作成が難しくなります。

自社の実態や特徴、将来の目標に合わせて会計基準・会計ルールを選択した方が良いでしょう。